
食品衛生検査セミナー2025 講演
ここまでわかる!食品微生物検査のポイント
2025年10月15日

一般財団法人日本食品分析センター
福岡事務所 小田 俊一 先生
ここまでわかる!食品微生物検査のポイント
微生物試験の目的と、必要とされる技術
微生物試験を必要とする業種は、臨床や食品をはじめ、薬品や化粧品、飼料、ペットフード、化学工業品など多岐にわたりますが、その目的は分野によって異なります。例えば、臨床では治療や救命を目的とし、時には危険な病原体を扱うこともあるため、まずは試験担当者自身の感染防止が重要なポイントとなります。一方、臨床以外の分野では、品質管理が目的となることが多く、検体の汚染防止が重要なポイントとなります。
次に食品微生物試験に必要な技術は、取り扱う食品によって異なると考えます。例えば缶詰やレトルト食品の試験では、微生物が検出されないことを確認することが目的です。そのため、コンタミネーションの防止に細心の注意を払うことが大切です。また、このような試験の担当者は、日常業務の中で微生物のコロニーを目にする場面はほぼ無いと思います。
一方、発酵乳などの試験では、「107/mL以上の乳酸菌が存在していることを確認する」といったように、高いオーダーの菌数を的確に測定する技術が求められます。あるいは、生野菜サラダであれば大腸菌群が検出されることは珍しくありません。この場合、試験担当者には疑わしいコロニーが生育したら対象菌か否かを正しく判別する能力が求められます。
表1に主な衛生指標菌の試験方法を示します。何も微生物が検出されないことの確認が日常業務になっている方にとっては、混釈、塗抹、増菌という3つの手技さえ覚えれば良いのかもしれません。
一方、培養後に何らかの微生物が生育する検体を扱う方にとっては、3つの手技に加えて、コロニーの計数や菌数の算出、コロニーの判別、釣菌、接種(画線分離)やグラム染色などの手技も覚える必要がありますが、酵素基質培地を用いれば省略できる操作もあります。
このように、一口に「微生物試験」と言っても、必要な技術は、対象食品や試験法によって異なります。
