坂崎利一博士の紹介

島津ダイアグノスティクスでは日本の細菌学発展に偉大な功績を残した坂崎利一博士の偉業を讃えて、食品衛生検査セミナー賞(坂崎利一賞)を創設、若手の研究者へ食品衛生感染症の起因菌及び迅速検査等の研究に関し今後の活躍に期して授与しています。

坂崎利一(阪崎利一) について

元国立予防衛生研究所(現国立感染症研究所)の細菌第一部第一室長。
島津ダイアグノスティクスの本社には坂崎氏の業績展示コーナーがあり、朝日文化賞・Bergey‘s Award・野口英世記念医学賞・デンマーク王立獣医農学大学などに関する授与品や書籍が閲覧可能です。弊社では日本の細菌学発展に偉大な功績を残した坂崎の偉業を讃えて、元神戸市環境保健研究所細菌部長で医学博士の仲西寿男を発起人として食品衛生検査セミナー賞(坂崎利一賞)を創設、若手の研究者へ食品衛生感染症の起因菌及び迅速検査等の研究に関し今後の活躍に期して授与しています。



略歴

大正 9年(1920年) 8月三重県四日市市に生まれる
昭和10年(1935年) 4月単身上京、日本高等獣医学校獣医学部 入学
昭和13年(1938年) 4月北里研究所に就職
昭和16年(1941年) 4月日本高等獣医学校獣医学部 卒業
昭和17年(1942年) 2月太平洋戦争応召、京都軽重兵連隊に入隊
昭和17年(1942年) 5月陸軍獣医学校 入学
昭和17年(1942年) 11月原隊復帰
昭和18年(1943年)12月動員令により出動
昭和19年(1944年) 5月ビルマ上陸
昭和20年(1945年) 8月終戦、アーロン収容所に慮囚生活
昭和22年(1947年) 7月復員(1947.7.24宇品入港)
昭和22年(1947年) 11月三重県技術吏員(四日市細菌研究所)
昭和23年(1948年) 9月結婚
昭和25年(1950年) 5月株式会社中村滝製薬公衆衛生研究所 所員
昭和28年(1953年) 9月農林省家畜衛生試験場 研究員
昭和33年(1958年) 2月獣医学博士
昭和34年(1959年) 3月国立予防衛生研究所 所員(現国立感染症研究所)
昭和40年(1965年) 1月「1964年度朝日文化賞」受賞(腸炎ビブリオの発見と研究)
昭和49年(1974年) 6月「デンマーク王立獣医農業大学 名誉獣医科学博士」称号授与
獣医学創始200年記念 (病原性ビブリオ及び大腸菌の研究)
昭和60年(1985年)東海大学医学部 客員教授
平成 2年(1990年)財団法人日本生物化学研究所 非常勤主任研究員
平成 6年(1994年) 9月Bergey’s Award (Bergey’s Manual Trust) 受賞
平成10年(1998年)11月第42回野口英世記念医学賞受賞(腸管病原菌と日和見病原菌の研究)
平成14年(2002年) 1月永眠(享年81歳)

関連書籍

  • 腸内細菌検索法 (1956年) 1956
  • 腸内細菌とその類似菌の簡易なしらべかた (1962年) (栄研学術叢書〈第1集〉) 1962
  • 腸内細菌同定法 (1964年) 1964
  • Schaub:臨床細菌検査の実際 (1964年) 1964
  • 医学細菌同定の手びき (1967年) 1967
  • 微生物学ポケット事典 (1970年) (ニッサン・ライブラリー〈no.4〉) 1970
  • 家畜微生物学 (1970年) 1970
  • 微生物検査の手びき (1971年) 1971
  • 医学細菌同定の手びき (1974年) 1974
  • 腸内細菌〈1〉概論 (1975年) 1975/1
  • 腸内細菌〈2〉各論 (1975年) 1975/5
  • 細菌・真菌・原虫用培地マニュアル (1975年) 1975
  • 家畜微生物学 (1977年) 1977/4
  • 家畜微生物学 1977/4
  • 腸内細菌 3 各論 2 1977/4
  • 新細菌培地学講座〈上〉 (1978年) 1978/1
  • 新細菌培地学講座〈下〉 (1978年) 1978/5
  • 腸内細菌 4 各論 3 1979/6
  • サルモネラ症―その細菌学,病理学および臨床 (1979年) 1979/7
  • 臨床と治療のための医学微生物学 (1981年) 1981/9
  • 食中毒 (1) 1981/1
  • 細菌・真菌・原虫用培地マニュアル (1982年) 1982/7
  • 腸内細菌 1 概論 1983/5
  • 腸内細菌 (2 各論1) 1985/1
  • 食中毒 (2) 1983/1
  • グラム陰性菌の同定<除・腸内細菌> (1985年) 1985/7
  • 新 細菌培地学講座〈上〉 1986/11
  • 新 細菌培地学講座〈下1〉 1988/8
  • 食水系感染症と細菌性食中毒 1991/7
  • 概論、Salmonella属 (腸内細菌) 1992/5
  • 腸内細菌〈下巻〉 1992/6
  • 医学細菌同定の手びき 1993/11
  • 図解臨床細菌検査 1996/3
  • 花咲く雑草の記―ある細菌学研究者の昭和史 1997/5
  • 臨床材料にみられる腸内細菌以外のグラム陰性、好気性および通性嫌気性桿菌の同定 2000/1
  • 新訂 食水系感染症と細菌性食中毒 2000/9
  • アメリカ微生物学会臨床微生物学ポケットガイド―メディカルスタッフのための臨床微生物検査ガイド 2000/10
  • 臨床医のための臨床微生物学 2002/6

その他、多数実績あり。

論文

論文実績1

※情報元:国立情報学研究所 (NII)

  • 梅毒血清診断法中カーン推定法と同標準法及村田法との比較成績 (1951)
  • 熱性患者より分離せるSalmonella simsburyとくに本菌とSalmonella senftenbergとの関係 (1950)
  • 三重縣北部地方におけるSalmonellaの分布:第I報 健康者26, 321名の檢便成績 (1951)
  • 三重縣北部地方に於けるSalmonellaの分布:第V報綜合成績 (1951)
  • Salmonella抗原構造の変異に関する研究:I. S. mikawashimaとS. bareillyの相互関係A. S. mikawashimaについて (1951)
  • Salmonella ballerup類似菌による食物中毒 (1951)
  • 食物中毒例よりSalmonella moscowの分離 (1951)
  • 牛よりSalmonella schleisheim第2相菌の分離 (1951)
  • 保存菌株Salmonella newingtonがSalmonella-anatumに自然変異した1例 (1951)
  • 斃死モルモットよりSalmonella amersfoortの分離例 (1952)
  • SS培地に関する研究 (変法SS培地) II (1953)
  • 腸内細菌学講座-1- (1954)
  • Paracolonに関する研究:I. 検索方法と分布状況について (1954)
  • Paracolonに関する研究:III. Ballerup Paracolonについて (1954)
  • Paracolonに関する研究:IVとくにBethesda-Ballerup菌属の病原性について (1954)
  • SYS寒天 (私共の考案した1固形培地) について (1955)
  • Paracolonに関する研究:VI.分類不明のParacolon及びBethesda-Ballerup菌属の分類学上の位置についての考察 (1955)
  • 東京都の犬のSalmonella検索成績 (1954年の成績) (1955)
  • 牛胆汁中のSalmonellaについて (1955)
  • Salmonella 増菌培地の比較試験 (1955)
  • BACTERIUM VISCOSUM EQUI (SHIGELLA EQUIRULIS)の分類学上の位置について (1956)
  • 獣医学領域における病原腸内細菌 (1957)
  • Salmonella O抗原をもつCitrobacter(Escherichia freundii)について (1957)
  • 14. 1957年度に分離された Salmonella について (第45回日本獣医学会記事) (1958)
  • Proteaeに関する研究:II. Proteusの血清学的性状について (1958)
  • 腸内細菌類似のグラム陰性桿菌とくにBacterium anitratum,Pseudomonas aeruginosa,Achromobacter,Alcaligenes faecalisなどの同定法 (1958)
  • 腸内細菌同定のための簡易な生化学的およびアミノ酸脱炭酸検査法 (1959)
  • Proteaeに関する研究:III健康人獸におけるProteusの検出率 (1959)
  • Proteaeに関する研究:V分離Proteusの血清学的型別 (1959)
  • Proteaeに関する研究:IV Proteusの形態学上, 培養上および生化学的性状について (1959)
  • Proteaeに関する研究:VI. Proteusの病原性について (1960)
  • 動物由来の Escherichia の病原性に関する研究:第1編 ウマの産科領域から検出された Escherichia の生化学的, 血清学的性状および毒性 (1960)
  • 蛇から分離された8種のARIZONA新型菌とその新鞭毛抗原 (1961)
  • Aeromonasを分離した急性下痢症の2例 (1962)
  • 新らしいジフテリア菌分離培地-HB培地-の研究 (1963)
  • 腸内細菌の病因論 (1962)
  • わが国におけるサルモネラ疫学の特性 (1962)
  • 病原性好塩菌 (1963)
  • 日本におけるSalmonelleaeの疫学と生態〔英文〕 (1964)
  • サルモネラ症 (人獣伝染病(シンポジウム)) (1965)
  • 腸炎ビブリオの細菌学 (腸炎ビブリオ(シンポジウム)) (1965)
  • 腸炎ビブリオの検査方法 (1966)
  • 腸炎ビブリオの溶血能に関する研究 : 要望課題12 腸炎ビブリオの諸問題 : 食中毒 (1967)
  • Gram陰性桿菌の長期化学療法患者喀痰よりの分離にかんする研究 (1969)
  • 細菌分類学入門 (1974)
  • Bergeyのマニュアル (1976)
  • 細菌検査の自動化 (1977)
  • リファレンスシステム–とくに外国におけるそれの紹介 (わが国におけるReference Centerの現状と将来<シンポジウム>) (1978)
  • 下痢と検査 (1978)
  • 司会のことば (下痢,腸炎をめぐって<第23回日本臨床病理学会関東・甲信越支部例会特集>) (1978)
  • 細菌性下痢の発症機序 (下痢,腸炎をめぐって<第23回日本臨床病理学会関東・甲信越支部例会特集>) (1978)
  • 新しい菌の生化学テスト用培地とキット (微生物検査に関する新しい問題点<特集>) (1979)
  • 下痢–腸炎と腸内菌叢 (腸内細菌叢の基礎と臨床<特集>) — (諸病態における腸内細菌叢の変動) (1978)
  • 海外旅行者と無関係に突発するコレラ (コレラの臨床<特集>) — (最近のコレラ流行の疫学) (1979)
  • 新しく登場した病原菌,Campylobacter fetus subsp.jejuniおよびLegionella pneumophilaの分離と同定 (新しい抗生物質療法<特集>) — (トピックス) (1979)
  • 感染症の早期診断 (最近の感染症<特集>) (1981)
  • 腸炎ビブリオ菌体由来溶血性画分(ITHF)の組成脂肪酸と溶血活性について〔英文〕 (1982)
  • 細菌の命名に関する国際委員会と国際的に承認される細菌名 (1982)
  • Non-O1 Vibrio choleraeの分布(1976-1981)およびその毒素産生性について (1982)
  • 臨床細菌検査の自動化および機械化 (第55回日本細菌学会総会シンポジウム) — (臨床細菌検査の自動化および機械化(シンポジウム4)) (1983)
  • 病原細菌同定の問題点 (第5回衛生微生物技術協議会議会研究会) (1984)
  • 細菌性食中毒の現状–混乱する食中毒の定義 (1987)
  • サルモネラ腸炎集団発生事例における疫学マーカーとしてのプラスミドプロファイルの評価 (1988)
  • 菌の同定:菌種の決定から型別まで (1988)
  • O157 : H7腸管出血性大腸菌感染モデルにおけるClostridium butyricumを用いた感染防御の検討 (1998)
  • 疫学調査マーカー:血清型と生物型 (1989)
  • 炭素源利用テストによる Enterobacter cloacae の生物型別 (1989)
  • 院内感染防止対策に必要な細菌学 (3):細菌遺伝学と疫学マーカー: その1 (1989)
  • 臨床材料由来Acinetobacter属菌株の同定 (1990)
  • メチシリン耐性 Staphylococcus aureus (MRSA) 感染症対策の疫学マーカーとしての抗菌剤耐性パターンによる型別 (1992)
  • 雑草の唄 (1995)
  • CPS ID 2寒天培地(bioMerieux)の評価 : 尿検体の迅速診断 (1995)
  • 新しい病原菌 (1995)
  • 新しい Salmonella の分離培地SMID寒天 (bioMerieux) の評価 (1995)
  • 発色(光)酵素基質の臨床微生物学への応用 (1997)
  • Helicobacter pylori感染マウスの材料からの免疫磁気ビーズ法による菌の検出 (1998)
  • それでもSalmonella choleraesuisは使用されない (1999)

その他、多数実績あり。

論文実績2

※日水製薬株式会社関連、法人・組織などは当時の呼称

  • 「PRODUCTION OF CHOLERA-LIKE ENTEROTOXIN BY AEROMONAS HYDROPHILA」
    Japanese Journal of Medical Science and Biology 37(3), 141-144, 1984
    National Institute of Infectious Diseases, Japanese Journal of Infectious Diseases Editorial Committee
    国立予防衛生研究所細菌部   島田 俊雄
    国立予防衛生研究所細菌部   坂崎 利一
    日水製薬株式会社中央研究所  堀米 一己  
    日水製薬株式会社中央研究所  上坂 良彦
    日水製薬株式会社中央研究所  庭野 清司
  • 「A NEW SELECTIVE, DIFFERENTIAL AGAR MEDIUM FOR ISOLATION OF VIBRIO CHOLERAE O1: PMT (POLYMYXIN-MANNOSE-TELLURITE) AGAR」
    Japanese Journal of Medical Science and Biology 43(2), 37-41, 1990
    National Institute of Infectious Diseases, Japanese Journal of Infectious Diseases Editorial Committee
    国立予防衛生研究所細菌部   島田 俊雄
    東海大学医学部微生物学教室  坂崎 利一
    日水製薬株式会社中央研究所  藤村 重晴
    日水製薬株式会社中央研究所  庭野 清司
    日水製薬株式会社中央研究所  三品 正俊
    日水製薬株式会社中央研究所  滝沢 金次郎

学会関連の名誉会員

  • 平成 3年 1991年 11月  日本食品微生物学会 名誉会員(第6号)
  • 平成 5年 1993年   3月  日本細菌検査学会 名誉会員(第107号)
  • 平成 9年 1997年   1月  日本臨床微生物学会 名誉会員(第13号)

著作権

© Riichi Sakazaki, NISSUI PHARMACEUTICAL Co., Ltd.

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