カビの基礎知識5. カビとは
- 生えると見える → もともと見えないが生えると見えてきます
- 色を出す → 生え始めるといろいろな色を出してきます
- 大きく拡がる → 生えるに従って大きく外へ拡がっていきます
- 表面で生える → モノの表面に沿って根を張って生えていきます
カビが見えない状態から見えてくる姿を以下の図でその流れを見てください。
見えないカビは早くて数日かけて白く綿状になり、そして次第と色を出して大きくなっていきます。その時にはすでに目で見えるカビです。
カビは微生物の仲間
生活の中でよく誤解される微生物があります。
その代表が細菌、酵母、カビです。簡単にその見分け方をまとめました。特に検査では発育、温度、酸素、形態、さらに集落が重要になりますのでここで覚えておいてください。
細菌 酵母 カビの違い
形・大きさ
カビの細胞は単細胞または多細胞です。具体的には胞子と菌糸で構成されます。
胞子:胞子が芽を出しながら伸びていきます。いわゆる種(タネ)です。胞子は生えやすい環境になると膨らんでその一端から枝を出していきます(発芽)。
菌糸:胞子が芽を出した後はひたすら糸を伸ばしていきます。その枝は先端部から先へ先へと伸びていきます(菌糸の伸長)。
カビの胞子の大きさは、1000分の2~40 mmくらいです。つまり2~40 μm(ミクロン)です。他の微生物と比較してみました。カビの大きさは目で見えないといいましたがこの大きさでも目視では見えません。
菌糸を伸ばしてカビが生えてくるとカビはいろいろな特徴を示すようになります。
そして、カビは大きさを増していき、やがて色を出してくるようになります。
また、カビは細菌と違いヌルヌル湿ったように生えません。いわゆる粉状や綿状に生えます。また、目で見えることと同時にモノにしっかり入り込んで表面で生えるようになります。さらにカビが根を張ってなかなか取れないようになります。
カビの性質と発生
- 大きく拡がる
- 色を呈す
- 粉状か綿状になる
- 表面に生える
- モノの中で根を張る
生える姿
カビの生える姿を他の微生物(細菌と酵母)と比較してみます。
細菌や酵母は単細胞のまま数を増やしていきます。一方、カビは目に見えない状態で胞子が芽を出しその後菌糸を伸ばしていきます。菌糸も様々な方向に張っていきます。同時にモノの中にも食い込んでいきます。最終的には菌糸先端から胞子を産生して空中に飛散していきます。
細菌・酵母・カビ集落はどこがちがう?
この写真のように細菌と酵母は区別し難いです。
生活環(ライフサイクル)
カビの発育は細菌や酵母と異なり複雑な生え方をします。複雑であることがカビによる被害を拡大させ、制御を困難にさせます。
すでにカビの生え方を説明しましたが、この一連のカビ発育をカビの生活環(ライフサイクル)といいます。
以下の図で簡単に説明します。多くのカビ(クロカビ、アオカビ、コウジカビ等)は無性的に発育(無性生殖)します。皆さんが日ごろみるカビの多くは胞子(無性胞子)が発芽し、菌糸体となりやがて菌糸が複雑に伸長する生活環です。
ときにはコウジカビでも環境によって有性的に発生する仲間 (カワキコウジカビ) もいます。その場合硬い殻を作ることが多く、長期にわたって生き続ける役目を果たします。また植物寄生するようなカビや熱に抵抗するような仲間にも有性的に生えてくるカビがあります。
主なカビの俗名
カビは俗名で話すことが多いので、主なカビについて学名と俗名をまとめました。
カビの俗名は色、形にちなんだ名前が多くあります。クロカビ、アオカビはよく知られています。他には、アズキイロカビ、アカカビ、ハイイロカビ、ススカビ、ベニコウジカビなどあります。しかしシロカビはありません。
主なカビの俗名