カビの基礎知識7. カビによる被害
生活環境(衣食住)への害
生活環境のうち、食では糖質と関わる食品事故例が多いです。その他に脂質、タンパク質を含む食品、水分量の多い食品、発酵性食品、低水分活性食品が被害を受けます。
衣類や皮革品でも事故事例は多く、乾燥が不十分の場合に被害が多いです。
建物では集合住宅、戸建て住宅等すべての建物で管理失宜などによる被害が多くみられます。
また近年では電気電子製品、精密機器、文化財などでのカビ被害も多くみられます。
衣食住へ害を与えるカビ
植物(果実・野菜など)への害
カビはもともと土壌にあり、ほぼ同じ環境にある植物への害は著しく多いことが報告されています。つまり樹木、果実、野菜、園芸などでのカビによる被害事例は多く、ここでは果実と野菜に限ってその事例をまとめました。
果実・野菜へ害を与えるカビ
害の指標となるカビ
生活環境の中でカビによる被害はさまざまです。
そこでどのような被害があるかを例示しその代表的なカビをまとめました。
カビの被害
カビ毒
食品で有害なカビ毒(マイコトキシン)は多く知られています。
1960年代にアフラトキシンの発がん性が疑われたことに端を発して多種のカビ毒が注目されてきました。
ここでは主要なカビ毒と代表的な産生カビをまとめました。
国内でのカビ毒
この中で、現在国内での対象となる主なカビはAspergillus、Penicillium、Fusarium の3属があります。
カビ毒は、圃場(農作物を育てる場所)や貯蔵さらに流通時等に付着したカビによる発生で産生され、特に上記3属のカビが関与することが多いです。どのカビもカビ毒を産生するとは限りませんが、カビ毒の多くは低分子化合物で加熱により容易に分解されません。
そのため、圃場から貯蔵、流通時の管理体制が重要となります。
臭気
カビによる臭気はカビ臭として知られますが、その臭気成分は同じカビであっても被害を受けた基質によって異なります。カビによる揮発性有機化合物(mVOC:microbial volatile organic compound)は、目で見えなくても発育が始まると臭気を発します。カビによる臭気問題はまだ未解明な点が多く、生体への影響やカビによる発生機序など今後の研究が望まれています。
ここでは、臭気成分をとり挙げ、その代表的なカビをまとめました。
臭気成分と産生する代表的なカビ